暴走族から「ホタル博士」へ・・板橋区の男性が博士号取得

飼育係φ ★

ホタルの飼育を16年にわたって続けているホタル博士の男性が東京・板橋区にいます。
このホタル博士は波乱の半生を乗り越えて、2005年に本当の博士になりました。

およそ2,000人が集まった夜間見学会で、
子どもたちに熱心にホタルについて教えているのは、
東京・板橋区にある板橋区立ホタル飼育施設の施設長、阿部宣男さん(49)。
毎年、この季節になると、子どもたちに都会では見かけることが少なくなった
ホタルを見てもらおうと、夜間見学会を行っている。
阿部さんは、ホタルの研究で博士号を2005年3月に取得した。

しかし、そこまでの道のりは平たんではなかった。
阿部さんは、高校時代は暴走族で活動していた。
阿部さんは「(暴走族のころは)100%迷惑をかけた。周りの方々や、特に親やご近所の方には」と語った。
また、阿部さんは「3人亡くしてますから、友達をそこで。
そのときの死の重みっていうのを、やはり今から考えたら、そんなにも簡単に考えてたのかなって」と、
暴走族を卒業し、自分を変えたきっかけを語った。
阿部さんは都内の大学に進学したが中退し、その後、24歳で飼育係の専門職として区の職員に採用された。
動物好きの阿部さんは、水族館や動物園で飼育係を務めたあと、
現在の飼育施設の前身である温室植物園でホタルの飼育に携わった。

しかし、そんな植物園が区の方針で取り壊されることになった。
阿部さんは「(植物園を取り壊されるときに)いるホタルを全部救えなかった。
それからだね変わったのは。自分としては、これは守らないといけないと」と語り、
それをきっかけに、阿部さんはホタルを守っていくことを決意した。
当時、廃屋だった学童保育所の跡地に、たった1人で施設の資材や機材などを運び入れ、
現在のホタル飼育施設を造り上げた。
そんな阿部さんは、人生の転機を迎えた。
茨城大学の稲垣照美助教授は
「ホタルに対して彼のノウハウや思いが素晴らしいと思ったので、
学位取得をされてはどうですかと話を持っていきました」と話した。

阿部さんは、研究のため訪れた稲垣先生の勧めにより、社会人特別選抜を利用し、
茨城大学大学院に入学した。
区の仕事のかたわら、10本以上の論文を書き、
ホタルの生息環境を再現した「せせらぎ空間」などの特許を取得した。
その実績が評価され、2005年3月、「ホタルの光の研究」でついに念願の博士号を授与した。
阿部さんは「(今振り返ってみて)何がよかったかというとあきらめない。
決してあきらめない。必ず1歩前に出るんだって」と語った。
今では区もお墨付きのホタル施設として、毎年子どもたちを迎える。
阿部さんは「ホタルと触れて、まず最初に感動してもらいたい。
次に飛んでいる姿や自然のなりわいに感激してもらいたい。
それらをすべて生み出した自然に感謝してもらいたい。
そういうことを子どもたちに教えたい」と語った。
http://www.fnn-news.com/headlines/CONN00072815.html