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お前のニュースもたまには聞かせろよ

1 :私事ですが名無しです:2006/11/12(日) 22:59:26 ID:6aajUBZE ?PLT(12121)
ふうんへえそうなんだそれで?

2 :私事ですが名無しです:2006/11/12(日) 23:01:05 ID:???
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3 :@ABダー:2006/11/14(火) 21:16:27 ID:???

お前のニュースをここで私のニュースにしなよ

4 :私事ですが名無しです:2006/11/24(金) 19:12:59 ID:???

おりんは頭を上下に動かして頷きながら、辰平の声のする方に手を出して帰れ帰れと振った。
辰平は、
「おっかあ、ふんとに雪が降ったなァ」
と叫び終ると脱兎のように馳けて山を降った。
山の掟を破ったことを誰かに知られやァしないかと飛び通しで山を降った。
誰もいないはずの七谷の上のところまで降って来たとき、銭屋の倅が雪の中で背板を肩から降ろそうとしているのが目に入った。
背板には又やんが乗っていた。
荒縄で罪人のように縛られている。
辰平は、
「やッ!」
と思わず云って立止まった。
銭屋の倅は又やんを七谷から落そうとしたからだった。
四つの山に囲まれて、どのくらい深いかわからないような地獄の谷に又やんを落そうとするのを辰平は目の下に見ているのである。


5 :私事ですが名無しです:2006/11/24(金) 19:14:07 ID:???

「ころがして落すのだ」
と知った時、昨夜照やんが「嫌なら七谷の所から帰ってもいいのだぞ」と云ったのを思い出した。
「あれは、これのことを教えたのだな」
と初めて気がついた。
又やんは昨夜は逃げたのだが今日は雁字搦みに縛られていた。
芋俵のように、生きている者ではないように、ごろっと転がされた。
倅はそれを手で押して転げ落そうとしたのである。
だが又やんは縄の間から僅に自由になる指で倅の襟を必死に掴んですがりついていた。
倅はその指を払いのけようとした。
が又やんのもう一方の手の指は倅の肩のところを掴んでしまった。
又やんの足の先の方は危く谷に落ちかかっていた。
又やんの倅は辰平の方から見ていると無言で戯れているかのように争っていた。
そのうちに倅が足をあげて又やんの腹をぽーんと蹴とばすと、又やんの頭は谷に向ってあおむきにひっくり返って
毬のように二回転するとすぐ横倒しになってごろごろと急な傾斜を転がり落ちていった。


6 :私事ですが名無しです:2006/11/24(金) 19:15:15 ID:???

辰平は谷の底の方を覗こうとしたその時、谷底から竜巻のように、
むくむくと黒煙りが上ってくるようにからすの大群が舞い上ってきた。
湧き上るように舞い上ってきたのである。

「からすだ!」
と辰平は身をちぢめるように気味悪くなった。
舞い上って、かあかあと騒ぎながら辰平の頭上高くとび廻っていた。
この谷のどこかに巣があって、雪が降ったのでそこに集っていたのだと思った。
きっと又やんはそこに落ちたのだと思った。

舞い乱れていたからすはだんだんまた谷底の方へ降り始めたのである。

「からすの餌食か!」

あんな大変のからすじゃァと身ぶるいをしたが、落ちた時は死んでしまっているだろうと思った。
倅の方を見ると、やっぱりからすを見て気味が悪くなったのであろう、空の背板をしょって宙を飛ぶように馳け出していた。
辰平は、
「あんなことをするのだから振舞酒も出さないわけだ」
と思いながら、狼が走って行くように背を丸めて逃げてゆく倅を眺めていた。


7 :私事ですが名無しです:2006/11/24(金) 19:15:58 ID:???

雪は牡丹雪のように大きくなってきた。
辰平が村に帰り着いた時は日が暮れて暗くなってしまった。

「うちへ帰ったら、末の女の子はおりんがいなくなったので淋しがっているにちがいない」
と思った。

「おばあはいつ帰って来る?」
などときかれたら、なんと答えようかと困ってしまった。
家の前まで来たが戸口の外に立って中の様子をみた。

家の中では次男が末の子に歌を唄って遊ばせていた。


8 :私事ですが名無しです:2006/11/24(金) 19:17:13 ID:???

  お姥捨てるか裏山へ
     裏じゃ蟹でも這って来る

留守に子供達はおりんのことを話していたのだ。
もう知っているのだと思った。
蟹の歌ばかりをくり返して唄っているのである。

  這って来たとて戸で入れぬ
     蟹は夜泣くとりじゃない

この歌は、村では昔は年寄りを裏山に捨てたものだった。
或る時、老婆を捨てたところが這って帰ってきてしまったのである。
その家の者だちは「這って来た、這って来た、蟹のようだ」と騒いで戸をぴったりと締めて中へ入れなかったのである。
家の中では小さい子が蟹が本当に這って来たのだと思い込んでしまったのである。
老婆は一晩中、戸の外で泣いていた。
その泣き声を聞いて子供が「蟹が泣いている」と云ったのである。
家の者が「蟹じゃないよ。
蟹は夜泣いたりしないよ、あれはとりが啼いているのだ」と子供などに話してもわけがわからないので、
そう云ってごまかしてしまったのである。
蟹の歌はそれを唄ったのである。


9 :私事ですが名無しです:2006/11/24(金) 19:18:33 ID:???

辰平は戸口に立って蟹の歌をきいていた。
こんな歌ばかりを唄っているのだから、おりんがもう帰って来ないことを承知しているのだと思うと気がらくになった。
辰平は肩から背板を降ろして雪を払った。
戸を開けようとした時、松やんが納戸の方から出てきた。
大きい腹にしめているその帯は、昨日までおりんがしめていた縞の細帯であった。
松やんが開けて出て来た納戸の奥では、昨夜おりんが丁寧に畳んでおいた綿入れを、
もうけさ吉はどてらのように背中にかけてあぐらをかいて坐っていた。
そばには甕が置いてあった。
昨夜の残りを飲んで酔っているらしく、うっとりとした目で首をかしげながら、
「運がいいや、雪が降って、おばあやんはまあ、運がいいや、ふんとに雪が降ったなあ」
と悦に入っているように感心していた。

辰平は戸口に立ったまま玉やんの姿を探したがどこにも見えなかった。

辰平はふっと大きな息をした。
あの岩かげでおりんはまだ生きていたら、雪をかぶって綿入れの歌を、きっと考えてると思った。

  なんぼ寒いとって綿入れを
     山へ行くにゃ着せられぬ

10 :私事ですが名無しです:2006/11/24(金) 19:20:55 ID:???

夕飯前に彼は女房と大湯につかっている。
大湯と呼ばれているのは、共同湯だが、これが女に効くと言うので温泉場の宝になっている。
宿屋の内湯で一先ず体を清めてから石段を下りて大湯へ行くのが浴客の習慣である。
大湯は三方だけ板が湯槽の形に繞らしてあるけれども、底は天然の岩石である。
板のない一方に、湯槽の形をゆがめて象のような岩が突立っている。
つやつやとした黒い肌が湯に濡れてなめらかだ。
その岩の上から湯の中へ滑り落ちると子供が出来ると言うので滑り岩と呼ばれている。

彼はこの滑り岩を見る度に、
「この怪物は人類を嘲っていやがる。」と感じる。
子供が産れなければならないと思う人間も、岩を滑れば子供が出来ると思う人間も、
このぬるぬるした大きい顔に笑われていると考える。


11 :私事ですが名無しです:2006/11/24(金) 19:21:32 ID:???

  三十すぎてもおそくはねえぞ
     一人ふえれば倍になる

この歌は晩婚を奨励した歌であった。
倍になるということはそれだけ食料が不足するということである。
だからおりんも辰平もけさ吉の嫁などとは夢にも考えてはいなかった。


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